鬼ヶ面山 只見沢 乗越沢



登山大系によると、鬼ヶ面山東面で最もポピュラーなルートが乗越沢であるらしい。

春に轟々と水を落としていた乗越沢の大滝は、夏には水量僅かになり迫力に欠ける。しかし、水量は少なくとも、ひらけて明るい渓相の乗越沢をペタペタ登るのは悪くない。ペタペタご機嫌でナメを登っていると急な雷雨に見舞われた。水量はみるみる増え、辺りの岩壁は瞬く間に大滝と化した。足元を流れる水量の増加に怯えながらハーケンを打って急いで降り帰った。秋になった折、残してきたハーケンの回収もかねて再び乗越沢に足を運んだ。

只見沢から魚止の滝まで水量、水温共に春より落ち着いて随分と歩きやすい。魚止の滝を巻きマンモス台地から三俣まで歩く。中俣に入り、さらに二俣を左に進むと乗越沢出合である。

左手の中俣本谷は急傾斜のまま尾根に吸い込まれ大変厳しい様子だ。鶏冠のような尾根を挟み、右手にある乗越沢は、傾斜がゆるく安心感がある。出合いの滝はやや被り気味なので、左から巻き気味に越えると、水量僅かな110m大滝が現れる。実際何mなのかはよく分からなかった。取り付きはやや傾斜があり黒光りしてかなりヌメるので慎重に登る。下部を登ると傾斜がぐっと緩み、階段状のやさしいナメ滝となる。グングン快適に登れるので楽しみたい。夏に打ったハーケンはそのまま残っていた。大滝先の黒々とした階段状の滝は意外にもヌメリが少なく登りやすい。この先はやや藪っぽくなり、パッとしない滝をいくつか登る。どれも苦労はないが最後の7m滝は思いの外悪い。この先で沢は二俣となる。右俣は藪っぽく興味は薄れる。左俣は奥にスラブが見えるので、自然と左俣に入りたくなるだろう。スラブは突起があり登りやすいが、岩が剥がれやすいので注意したい。いよいよ傾斜が強くなったところで藪に入り、僅かな藪漕ぎで稜線に飛び出した。

中俣本谷(左)乗越沢(右)


取り付きにカモシカ2頭


大滝下部はやや傾斜あり


上部は快適なナメ滝


振り返ると田子倉湖




階段状滝



やや悪い7m滝


二俣


左俣


右俣


剥がれやすいスラブ



稜線より左俣全景

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