鬼ヶ面山 只見沢 肩ノ沢左俣 ニードルルンゼ


鬼ヶ面山は標高こそ1500mそこそこだが、会津側に馬蹄形をなした峨峨たる岩壁を有している。その岩壁は一目見ただけで心を惹きつけられる非常に強烈な個性を放っている。

ニードルルンゼのある肩ノ沢は只見沢の最奥にあたり、上部で奥壁針峰群に吸収される。左俣の3本のルンゼのうち、Ⅱ峰とⅢ峰の間に突き上げるⅡルンゼが通称ニードルルンゼと呼ばれている。

田子倉登山口より適当な所で沢に入る。春の只見沢は水温がかなり低く足が痛い。10m 魚止の滝を右岸から巻いて滝上に出るとマンモス尾根末端台地である。少し歩くと沢は雪渓で埋め尽くさる。三股から眺める中央壁ブロックと奥壁針峰群の哨壁はおどろおどろしく聳えている。右股に入りドーム尾根を見送るとドーム滝である。雪渓があり苦労なく越える。この先で雪渓の斜度が増してきて、6本爪の軽アイゼンでは心許なくなってくる。ニードルルンゼの取り付きのシュルントはパックリ口を開き不気味な様相だ。壁と繋がっていないように思われたが、50cm四方に満たないしょぼい雪のブロックが僅かに繋がっていた。その奇跡的なブロックに祈るようにそっと体重を乗せて壁に乗り移るが、先の岩も外傾し泥も乗ってなかなか悪い。壁に乗り移った後、階段状に見えて簡単そうだった右側から登ったが、ここも外傾スタンスと泥で嫌らしい登りを強いられる。下部1ピッチを登るとCS下までのルンゼは快適だ。小さいCSは出だしのスタンスがやや細かいが、コンクリートに石を詰め込んだ岩質との表現通り、丸みを帯びた礫のホールドが豊富で登りやすい。巨大CSのトンネルはクラックから支点が取れて、短いがアドベンチャーな雰囲気で楽しい 。トンネルを抜けた後、左のスラブを100m程登り登山道に合流する。

雪解け水が冷たすぎる只見沢



魚止の滝


奥壁針峰群



ニードルルンゼ取り付き



下部



3つのチョックストーン



礫のホールドが豊富



ハイライトのトンネル



左のスラブへ

快適スラブ

鬼ヶ面眺めより


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