小戸沢 西の沢 高倉沢


会津朝日岳の地形図を眺めていると、北流する長い水線の楢戸沢と小戸沢に目が留まるはずだ。楢戸沢の魅力は言わずもがな知れ渡っているが、お隣の小戸沢は盛り上がりに欠けている。名を馳せずとも尚、小戸沢が輝きをみせるのは、会津朝日に深く切り込む長大な渓であるからだろう。

小戸沢林道を40分程歩くと西の沢と東の沢の二俣に着く。西の沢は両岸にブナ、肌色の花崗岩に、キラキラゆるやかな流れで癒される。うっとりしながらしばらく歩くと2段の小滝が現れ、丸太を渡り越える。左岸の崩壊地を過ぎてからゴルジュ地形になるものの威圧的ではなく、水と触れ合い爽やかに遡行できる。ゴルジュを過ぎると花崗岩から堆積岩のような岩に変化する。流程長くここまで滝らしい滝はほぼ無いので、鼻息荒くして臨むには少々退屈に感じるかもしれない。ようやく出てきた5m滝、7m滝を越えると、高倉沢とそそろ沢の二俣となる。高倉沢へ入り、すぐに現れる7m滝は一手悪く諦めて高巻く。見下ろすと次の7m滝も微妙そうだったので、まとめて巻いて、灌木を繋いで沢床に復帰する。ここは雪渓の状態によっては左岸へ大きく追い上げられ苦労するだろう。3mCS滝を超えると側壁が立ってきて連瀑帯が始まる。4m前後の快適な滝を次々と超えてゆき、最後の滝を左から巻き気味で登ると、右手から沢が合流する。水流は徐々に細くなり、5m程度の小滝をいくつか登ると藪に入る。co1493と高倉山の鞍部から少し藪を漕ぐと高倉山のピークだ。山頂は背丈以下の藪で予想外に眺めが良い。会津朝日岳南壁は藪が生い茂っており想像したものとは全く異なる様相だった。果たして壁と呼んでいいのやら。しかし積雪期には複雑に構成されたリッジが狂犬の如く牙を剥き、登山者を跳ね返しそうな雰囲気を醸し出している。

高倉山からの下山方法は、藪を漕いで会津朝日岳まで行くか、沢を継続で遡下降するか、このどちらなになる。前者は結構根気がいるので、継続遡下降するのが面白いだろう。西ノ沢は、7月下旬と10月上旬に歩いたが、7月の高倉沢は、たっぷり雪渓が残り高巻きに苦労した。同時期の東の沢は、雪渓のかけらもなかった。10月に再訪した際は西の沢の雪渓も消えていた。

肌色の花崗岩



倒木が懸かる二段の滝



ゴルジュ帯





水線から外れずに遡行可能



岩質が変化する



5m滝



7m滝



ソソロ沢と高倉沢の二俣



7m滝



高巻き


連瀑帯


登れる滝が多い

茂る会津朝日岳南壁

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